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やきものの在処(ありか)
Where is your Ceramic?
会 期:2017年9月4日(月)-11月11日(土)
休館日:日曜日、祝日、10月30日(月)※9月18日(月・祝)・23日(土・祝)、10月1日(日)・9日(月・祝)・29日(日)は特別開館
時 間:10:00-18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
入館料:無料
会 場:武蔵野美術大学美術館 展示室4・5
主 催:武蔵野美術大学 美術館・図書館
共 催:武蔵野美術大学 造形研究センター
監 修:田中正之(武蔵野美術大学 造形文化・美学美術史 教授/武蔵野美術大学 造形研究センター研究員)
入場者数:7,013人

 縄文土器や李朝陶磁、英国のスリップウェア、民藝の器など様々な時代や地域の陶磁器コレクションを紹介することを目的とした本展は、2013年からスタートした武蔵野美術大学造形研究センターの研究プロジェクト「生活デザインの高度なデジタル・アーカイブ化と、その生活文化空間の総合的研究への応用」の成果の公開として企画されました。
 本展では、「やきもの」にまつわる固定概念に捉われず新たな見方でやきものを楽しめるよう、陶磁史的視点や素材、技法、産地などの観点は一旦脇に置き、やきものをモチーフとして取り上げた絵画や写真、文学作品を主に所蔵作品から選び、当館陶磁コレクションとともに展観しました。
 一つの造形としてみたとき、やきものは形や色、質感、描かれる線のリズム、湛える時間性など、史実や技法の知識に基づかなくとも、私たちの感覚を揺さぶる可能性に満ちています。同時に、暮らしに欠かせないものとしてみたときには、時として日常生活の様々な断片や個々の記憶を呼び起こし、想像の中で響き合うことがあるかもしれません。
 本展で展示した、普遍的な存在としてやきものが描かれた小林孝亘の絵画や、物に向き合い続けた写真家大辻清司がやきものを捉えた視点、夏目漱石の文学作品に読むやきものの情景など、異なる地平から同一の存在をみつめることによって、本展は新たな視点からやきものの美しさを見出す機会となりました。
 展示では、絵画や写真、文学作品とともに「やきものをみる」ことをテーマに、他者(作家)の視点を介したやきものを感じることで、新たな視点で「やきものをみる」ことができる展示構成となりました。展示した、普遍的な存在としてやきものが描かれた小林孝亘の絵画、大辻清司の写真や宮沢賢治の「永訣の朝」など、異なるメディアで表された「やきもの」と、縄文土器や李朝白磁、中国景徳鎮窯の青花(染付)などをはじめとする当館陶磁器コレクションをあわせて展観しました。
 また出品作品の中から選んだ5点のやきものの3DCGやCTスキャン画像をはじめとするデジタルデータを作成し、展示しました。仔細なデータをタブレットの画面上で拡大し、回し、断面を見ることで、やきものという造形がどのように成り立っているのか、実際のやきものをみる時とはまた別の視点から知ることができました。また、今回のデータ化を通して、立体造形であるやきもののアーカイブをどう構築し利活用していくのか、その一端を紹介しました。

関連イベント

ワークショップ「〈あめゆうきっかぎょもんへい〉を写して板皿をつくろう」

日 時:2017年10月7日(土)15:30-17:30
会 場:武蔵野美術大学美術館 展示室4・5、第10講義室
出演者:西川聡(陶芸家/武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科教授)
内 容:本展に出品されている「飴釉菊花魚文瓶」と同じ技法を用いて板皿をつくりました。

花いけパフォーマンス+トーク「ムサビの古陶磁にいける」

日 時:2017年11月6日(月)16:30-18:00
会 場:武蔵野美術大学美術館 アトリウム2
出演者:上野雄次(花道家)
    西川聡(陶芸家/武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 教授)
内 容:花道家の上野雄次さんをお招きし、本展に出品されている陶磁作品に実際に花をいけていただきました。陶芸家の西川聡とのトークとあわせて、「やきもの」における「用」について改めて考えさせる内容となりました。