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「生活デザイン」プロジェクトの研究会を開催(報告)

2014年9月13日、「近現代建築空間および生活デザインの高度なデジタル・アーカイブ化と、生活文化空間の総合的研究」プロジェクトでは、内田繁氏(インテリアデザイナー)をお招きし、本学の柏木博教授、松葉一清教授とともに講演会を行いました。「ラディカルデザインの1980年代」と題し、まず内田氏が自身のデザインを交えつつテーマについて発表。アメリカ公民権運動やプラハの春、パリの五月革命など1968年に起こった闘争を挙げ、それは当時の工業化社会における歪みの顕在化、情報化社会への転換点を象徴する出来事だったと述べ、すでにポストモダニズムへと移行する諸問題が起こってきたと指摘しました。このような時代の変化を敏感に察知し、インテリアデザイナーの倉俣史郎氏らとともに、デザイナーとしてどのような形で示せるかと考えたとき、氏の目は商業空間に向いていきました。そして実際に「Jarrett」(ジャズブース・福岡)、「Y’s for men」(メンズブティック・大阪)、「SUIVI」(ブティック・東京)などの店舗をデザインした他、自由に身体にフィットする椅子「フリーフォームチェア」、空間に消えるような棟の椅子「セプテンバー」など、数々のインテリアデザインも発表。近年は代表作ともなった折りたたみの茶室「受庵」「行庵」「想庵」を手がけ、氏の表現領域は益々拡張しているように見えます。
内田氏の発表に続いて柏木・松葉両教授も参加しての鼎談となり、それぞれ社会史、思想史、建築史などの知見からポストモダンについて語り、この時代や表現について振り返りました。