「生活デザイン」プロジェクトの研究会を開催(報告)

2014年9月25日、「近現代建築空間および生活デザインの高度なデジタル・アーカイブ化と、生活文化空間の総合的研究」プロジェクトでは、韓国からキム・ミョンハン氏をお招きし、自身が館長を務めるaAデザインミュージアムについて語りました。
2007年にオープンし現在も建設が進行中という、aAデザインミュージアム。地下2階地上5階建ての建物内には、1階にカフェ、2階にギャラリー、3階にミュージアムがあり、実際に触れることができるミュージアムをコンセプトに、氏が内装のデザインも手がけました。収集している主な家具として、工芸的なものにハンス・ウェグナーやフィン・ユール、ポール・ケアホルムらの椅子、より大量に生産されるものにチャールズ&レイ・イームズらの椅子があり、これまでにいくつもの展覧会を開催しています。さらにはライフスタイル誌を発刊したり、良質かつ安価な家具も手がけたほか、東大門デザインプラザ内の家具のディレクションの依頼を受けるなど、活動の幅は拡がっています。さらに最近では、aAデザインミュージアム以外の場所でも、食事や宿泊が可能な施設を計画中だということです。

「生活デザイン」プロジェクトの研究会を開催(報告)

2014年9月13日、「近現代建築空間および生活デザインの高度なデジタル・アーカイブ化と、生活文化空間の総合的研究」プロジェクトでは、内田繁氏(インテリアデザイナー)をお招きし、本学の柏木博教授、松葉一清教授とともに講演会を行いました。「ラディカルデザインの1980年代」と題し、まず内田氏が自身のデザインを交えつつテーマについて発表。アメリカ公民権運動やプラハの春、パリの五月革命など1968年に起こった闘争を挙げ、それは当時の工業化社会における歪みの顕在化、情報化社会への転換点を象徴する出来事だったと述べ、すでにポストモダニズムへと移行する諸問題が起こってきたと指摘しました。このような時代の変化を敏感に察知し、インテリアデザイナーの倉俣史郎氏らとともに、デザイナーとしてどのような形で示せるかと考えたとき、氏の目は商業空間に向いていきました。そして実際に「Jarrett」(ジャズブース・福岡)、「Y’s for men」(メンズブティック・大阪)、「SUIVI」(ブティック・東京)などの店舗をデザインした他、自由に身体にフィットする椅子「フリーフォームチェア」、空間に消えるような棟の椅子「セプテンバー」など、数々のインテリアデザインも発表。近年は代表作ともなった折りたたみの茶室「受庵」「行庵」「想庵」を手がけ、氏の表現領域は益々拡張しているように見えます。
内田氏の発表に続いて柏木・松葉両教授も参加しての鼎談となり、それぞれ社会史、思想史、建築史などの知見からポストモダンについて語り、この時代や表現について振り返りました。

「生活デザイン」プロジェクトの研究会を開催(報告)

12月3日、「近現代建築空間および生活デザインの高度なデジタル・アーカイブ化と、生活文化空間の総合的研究」プロジェクトでは、渥美浩章氏(元・製品科学研究所勤務)をお招きし、産業工芸試験所およびその後継機関である製品科学研究所についての研究会を開催しました。渥美氏は大学を卒業後、産業工芸試験所に入所。そして1969年の製品科学研究所への改組後も在籍し、研究に携わられました。商工省工芸指導所時代からの国立機関としての役割や、『工芸ニュース』編集について、そして長年に渡った人間工学的視点からの住宅の研究開発などについてもお話しいただきました。

「近現代建築資料」プロジェクトの研究会を開催(報告)

12月2日、「近現代建築資料のデジタル・アーカイブ化と、その利活用の手法研究」プロジェクトでは、陣内秀信氏(法政大学デザイン工学部建築学科教授)をお招きし、研究会「『街並みの美学』再読〜21世紀の景観論への示唆〜」を開催しました。陣内氏は、建築物のみならず街並の重要性を説いた芦原義信氏の著書『街並みの美学』(岩波書店、1979年)や『隠れた秩序』(中央公論社、1986年)を取り上げ、この考え方の重要性を指摘。ウォーターフロントの再開発や、小さい単位が集積した街など日本の良さの再発見から、今後進むべき道は見えてくると思うと、日本の都市景観の未来についても語りました。

「漢字文化圏タイポグラフィの変遷—日中韓共同研究」開催のお知らせ(終了しました)

造形研究センター研究プロジェクト「日本近世における文字印刷文化の総合的研究」(プロジェクト長:本学視覚伝達デザイン学科教授 新島実)において、下記の通り中国北京の清華大学から赵健(Zhao Jian)教授、韓国東大邱の慶北大学から南權熙(Nam Kwon-Heui)教授、グラフィックデザイナーで活字研究家の朴志勲氏をお迎えし、日中韓の漢字文化圏におけるタイポグラフィデザインの問題および印刷技術や造本の歴史に関して比較考察を行い、それぞれの国の特質や差異について講演をしていただきます。

■漢字文化圏タイポグラフィの変遷—日中韓共同研究

【講演会1】
日時 | 2015年11月6日(金) 14時~16時(受付:13時30分より)
会場 | 武蔵野美術大学 美術館ホール
講師 | 赵健(北京 清華大学美術学院ヴィジュアル・コミュニーケーション学科教授)
モデレータ | 寺山祐策(本学視覚伝達デザイン学科教授)
講演 | 中国におけるブックデザインの転換期 1862年から1937年 ※日本語通訳あり

【講演会2】
日時 | 2015年11月7日(土) 14時~17時(受付:13時30分より)
会場 | 武蔵野美術大学 美術館内第10講義室
講師 | 南權熙(東大邱 慶北大学社会科学大学文献情報学科)
講演 | 知識と情報コミュニケーションの側面から探る朝鮮半島の金属活字と木活字の歴史

講師 | 朴志勲(グラフィックデザイナー、活字研究家)
講演 | 近代初期のハングル活字についての研究 ※日本語通訳あり

主催 | 武蔵野美術大学 美術館・図書館
協力 | 武蔵野美術大学 造形研究センター

◎事前申込、参加費不要

チラシをダウンロード(PDF)

◎11月6・7日に開催した赵健教授及び南權熙教授による講演のスライドデータ(PowerPoint)を配布いたします。 ご希望の方は2015年11月30日までに、m-l●musabi.ac.jp(●→@)宛にメールでお申込みください。 件名は「講演会資料希望」とし、本文には氏名と所属をご記載ください。